東の青龍|鴨川

6月25日、今日の京都市左京区は、雨。
今日の鴨川も、長引く雨で少し荒れています。

今日は、昨日の続きで、鴨川の歴史を少々お伝えしたいと思います。

「東の青龍」・「西の白虎」・「南の朱雀」・「北の玄武」
大地の四方の方角を司る「四神」をご存知ですか?
平安時代、その都の地勢や地相において、
東の青龍を鴨川・西の白虎を山陰道・南の朱雀を巨椋池・北の玄武を船岡山に宛てていた、という説があります。

四神の一つとみなされた鴨川は、桓武天皇による平安遷都の際に、神聖な川として尊ばれ、その水は宗教的な儀式に重用されることとなりました。
上賀茂神社の境内には、その支流が流れ、その水は社家町の家々に取り込まれ、かつては神官たちの禊に供されていたそうです。
「葵祭」で斎王代が上賀茂神社の川で手を清める禊之儀は、毎年テレビで放映されます。
また、下鴨神社では、鴨川の伏流水を御手洗池に集め、今でも清めの神事に用いています。
裸足になって御手洗池に脚を膝まで浸け、蝋燭の火が消えないように進む「みたらし祭」の「足つけ神事」は、下鴨神社の夏の風物詩となっています。

神聖な川として清浄を保つために、狩猟で捕えた獲物を洗うことを禁じた命令が出されたこともあります。
神聖な場所として、鴨川の河原が、埋葬地だったこともあります。

平安京のまち中には、大路、小路に沿って水路が設けられていたと言われており、鴨川の水やその伏流水は、これらの水路を潤し、生活用水や灌漑用水として人々の暮らしを支えるとともに、茶の湯に代表される京都の水文化や織物・食など、さまざまな伝統産業を育んできました。

鴨川の河原は、都における数少ない広い空間であったことから、店や芝居小屋が建ち並び、多くの人々が集いました。
観阿弥・世阿弥父子による能楽、出雲阿国による歌舞伎、善阿弥による庭園芸術など多くの優れた文化も鴨川の河原から生まれました。
また、京都の夏の風物詩である「納涼の床」は、江戸時代からあのような形態になったそうです。

鴨川があったからこそ、京都に都が遷都されたと言っても過言ではありません。
初めて新しい都にする地を見られた桓武天皇も、思わず「おお・・山も川も美しい」とおっしゃったそうです。


しかし、鴨川の河原が、このような文化的背景を持つ一方で、多くの人々が集まるがゆえに、見せしめのための処刑場など、政治的にも利用されたことも、忘れてはいけない京都鴨川の歴史だと思います。









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